感想:「外套」「鼻」 『外套・鼻』(著:ニコライ・ゴーゴリ 、訳:平井肇、岩波文庫) あらすじはリンク先のWikipedia記事を参照。 「外套」は死んだ主人公が幽霊となって恨みを晴らす結末部分、「鼻」は主題たる事件そのものが非現実的な発想といえるが、そのような不可解な事象はあくまで印象付けの為であり、真に作者が主張したいのは市井の人々の苦しみや権威主義への批判であると、現代人の視点故に感じることができる。 特に「外套」の方は仕事の能力こそ低いものの、真面目実直な普遍的な労働者である主人公が、(当時代の知識がないため想像だが)普遍的な社会環境の中で祝福や絶望によって翻弄される様は、時代や国境を越えて胸を打つものがあった。 PR