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感想:「蜘蛛の糸」他


『蜘蛛の糸・杜子春』(著:芥川龍之介、新潮文庫)


■ 収録作品
・「蜘蛛の糸」
・「犬と笛」
・「蜜柑」
・「魔術」
・「杜子春」
・「アグニの神」
・「トロッコ」
・「仙人」
・「猿蟹合戦」
・「白」

 童話作品は「起」の場面に魔術などの超自然の要素を取り入れることで読者の興味を引きつけ、勧善懲悪や因果応報という主張に沿って「転」から「結」までの流れを描いているので読みやすく、味わい深い。
 「蜜柑」と「トロッコ」はノスタルジアの感傷が精緻に書き綴られた傑作。「私はこの時始めて、云いようのない疲労と倦怠とを、そうして又不可解な、下等な、退屈な人生を僅に忘れる事が出来たのである。」という「蜜柑」の末文は捻くれてるけど好きな一節。
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