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感想:『蠅の王』


『蠅の王』(著:ウィリアム・ゴールディングス 訳:平井正穂、新潮社)


 漂流記物の形式でありながら、人間それも年端もいかない少年の獣性を描いた作品。
 精神的不安に理性が脅かされることで秩序が崩壊するというのは実際的な理屈で共感できる。
 しかし、その混沌の中においても尚、秩序の為に奮闘し、死の恐怖にも立ち向かう子供たちの姿に、動物にはない人間だけがもつ社会性が顕れていて興味深い。
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