感想:「女生徒」 「女生徒」(著:太宰治) 送られてきた女生徒の日記を太宰が独白形式の小説に仕立て上げた作品。 太宰の手による編集概要を山田敏氏「『女生徒』論 -原テクストからの「私」の改変をめぐって-」(国文学研究, 2010-03-15)にて簡単に確認した上での感想。 不安定な時期の女生徒特有の感性については日記の時点で殆ど完成されており、作品の本質的な部分では太宰の創作による功績は薄いが、より客観的な視点からの自己分析という方向へ体裁を整え、小説として十分に傑作と言える質にまで高めた手腕は評価すべきだと思う。 ただし、追記部分の中でも「王子さまのゐないシンデレラ姫」という一文などは元となった日記を外れて空想による逃避に傾倒させている印象が有り、違和感を覚えた。 今回はスマートフォンアプリで青空文庫のテキストを読んだが、機会があれば紙媒体で再読したい。 PR