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感想:『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』


『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』
(著:フィリップ・K・ディック、訳:浅倉久志、ハヤカワ文庫SF)


 核戦争により廃墟と化した地球を舞台に、火星から逃げ込んできた8体のアンドロイドを追う賞金稼ぎのリック・デッカードを主人公としたアクション・サスペンス。
 文化や宗教の細部にまで作りこまれた作品世界の出来が素晴らしく、また物語の根幹にある「人間とは何か」という主題に光を当てる為の舞台装置として十二分に機能している点には感動すら覚える。
 特に、アンドロイドの性格について、単純に合理的で冷徹な非生物らしい性格とするのではなく、感情移入という能力の不足によって表現しているのが巧妙である。
 また、「賞金稼ぎ」としてアンドロイドを始末する使命を持つ主人公が、自身が人間であるが故に始末しなければならないアンドロイドに対して同情し、苦しむようになる姿が印象的だった。

 本作は1968年、現在から丁度50年前に発表された作品にもかかわらず、ロボット産業がより発達した近年のSF作品に勝るとも劣らぬ出来であることは、作者の創造力の高さに驚かされるばかりである。
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