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感想:『白夜』


『白夜』(著:ドフトエフスキー 訳:小沼文彦、角川書店)


 端的に纏めると「孤独な夢想家の失恋」。
 恋を実らせる可能性も十分にありながら失恋という結果になった要因の一つが、「主人公の誠実さ」であることは皮肉だが、滑稽よりもむしろ愛しさを感じる。
 恋の成就という自身の欲求を叶えることよりも、ヒロインの意思を尊重するという決断に対し、意思決定能力が薄弱だと批判する考えも勿論あるが、それが単なる綺麗事を盾にした逃避ではないことは主人公の苦悩から十分に計り知れる。
 本当に優しい人は、その優しさの為に苦しむというのは遣る瀬ない真実だ。
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