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感想:『殺し文句の研究』


『殺し文句の研究』(著:阿刀田高、新潮文庫)


 初版発行は2005年1月、著者69歳の時に出版されたエッセイ集。

 主構成は下記の6章からなる。
 ・少年期から小説家に至るまでを振り返る「来し方考」
 ・自身の純粋な好みを語る「好きなもの、好きなこと」
 ・日本語の面白さ、美しさなど様々な魅力を紹介する「殺し文句の研究」
 ・自身が築き上げてきた小説を書く際の手法を披露する「作家の企業秘密」
 ・作家ならではの経済観念を突き詰める「作家の経済学」
 ・これまでの人生経験から女性の魅力を考察した「男と女の物語」

 直木賞作家であり、短編の名手として名高い阿刀田高という人間を少年時代の思い出から、熟練作家としての観念まで凝縮して詰め込んだ一冊。

 作家のエッセイというと小難しい人生哲学や、文学に対する持論を展開するものかと少し身構えるところがあったが、序章においてその印象は崩された。
 どこか陽気に、時折苦笑を込めて語られる回想や嗜好には親しみの念を覚え、氏の作品をより魅力あるものとしてくれる。そんな一冊。
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