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感想:『菜根譚―中国の処世訓』


『菜根譚―中国の処世訓』(著:湯浅邦弘、中公新書)



 『菜根譚』とは中国明代末期、洪自誠(1573~1620年頃)によって著された処世訓。1591年に『雅尚斎遵生八牋』という書の付録として刊行され、日本では文政5年(1822年)に和刻本が刊行された。
 本解説書の著者をして、中国の処世訓の中でも最高傑作と評される『菜根譚』の最大の特徴は、儒教を基盤としつつ、仏教・道教にも共鳴を示している点である。人生哲学について一つの思想に固執せず、多角的にを示すことから時代を超えてなお高く評価され続けているのである。

 内容としては、対比を用いた主張を基本とする為に読みやすい。また、『論語』にもある「過ぎたるは猶及ばざるが如し」を多様な場面に活かした言葉が散見される印象。

 私見としては、元より物欲が薄い為、清貧という観念に関しては学ぶべきところは余りなかったが、老い方や世渡りの訓戒としては参考になるところ多かった。
 また、資本主義経済によって回る現代日本に於いては、社会に求められる姿勢から逆行しているような主張も多く有り、流石に400年もの時勢の違いから隠居でもしていないと実践が難しいものも少なくないと感じた。
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