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感想:「富嶽百景」


富嶽百景」(著:太宰治)



 1938年(昭和13年)太宰が29歳、井伏鱒二の紹介で見合いをし石原美知子を妻に迎える時期を題材とした自伝的小説。富士山に対する価値観の移り変わりが詳細に独白されており、美知子との結婚を機に真人間として再起しようという太宰の心境の変化を反映しているのが印象深い。
 世間に対して斜に構え、時に死をも望む退廃とした人生の中で、本心の部分では人並みに幸せでありたいと願う哀しい人間らしさが太宰の持ち味だと改めて感じる。
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