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感想:『サキ短編集』


『サキ短編集』(著:サキ、訳:中村能三、新潮文庫)


■ 収録作品
・「二十日鼠」
・「平和的玩具」
・「肥った牡牛」
・「狼少年」
・「話上手」
・「七番目の若鶏」
・「運命」
・「開いた窓」
・「宵闇」
・「ビザンチン風オムレツ」
・「休養」
・「マルメロの木」
・「新米家」
・「十三人目」
・「家庭」
・「セルノグラツの狼」
・「おせっかい」
・「ある殺人犯の告白」
・「ラプロシュカの霊魂」
・「七つのクリイム壺」
・「盲点」

 起承転のテンポよさと、意外性を備えた結末。短編の基本が抑えられているのは勿論の事、社会風刺的というか人間の本質的な部分への批判があるのが面白い。物語の中で語り手の存在がしっかりしているので読み込みやすいが、人を上手く騙す話が多い為、読者を懐疑的な立場にするのも作品の特徴。

 「平和的玩具」「話上手」の二編は子供の無邪気な不道徳というものは、管理不可能であることに注目した作品。「話上手」の方は語り手の技量が高く、最後まで道徳と不道徳の何方を勧める内容なのか分からないところが上手だと感じた。
 「宵闇」「おせっかい」などは特殊な状況での人情の深さを扱っている作品。結末部で一転する様は秀逸の一言。
 「狼少年」は同名のイソップ童話と異なり、人間の少年の姿に化けて人を欺いた狼の話。世に喧伝される英雄というのは信頼に値するものかという風刺的内容。

 童話的が少なく、攻撃的な批判ではない風刺としてのブラックユーモアを土壌としており、高い技術からも楽しめる短編集だった。
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