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感想:『西部戦線異状なし』


『西部戦線異状なし』(著:エーリヒ・マリア・レマルク、訳:秦豊吉、新潮文庫)



 主人公である18歳の青年、パウル・ボイメルが志願兵として出兵し戦死するまでの従軍記。未来ある若者が戦争に駆り出され、常に死と隣り合わせの戦場で人生の意味を見失う絶望を生々しく描いている。
 過酷な戦場だけでなく、部隊内の不和や捕虜との遣り取り、戦場に出たことのない一般市民との認識の齟齬、負傷兵の末路など不条理な戦争を多方面から描いており、何もかもが悲劇的。
 「西部戦線異状なし」の題名の通り、パウルの死の描写が最後の1ページで簡潔に、特筆すべきことではない事としてまとめられているのも印象的であった。

 現在の世界情勢という観点に於いて、世界規模の戦争こそ歴史上のものとなってはいるが、国家間やテロ組織を相手とした紛争は絶えることなく行われている。一文明人として本心から、暴力の横行が世界から廃絶されることを願うばかりだ。
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