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感想:ポール・オースター「ニューヨーク三部作(The New York Trilogy)」


アメリカの現代作家、ポール・オースターの初期作品三作。

『シティ・オヴ・グラス』( 訳:山本楡美子・郷原宏、角川文庫 )
『幽霊たち』( 訳:柴田元幸、新潮文庫 )
『鍵のかかった部屋』( 訳:柴田元幸、白水Uブックス )



 三作品とも共通して、アイデンティティの追及に主題をおいているが、それぞれアプローチの方法が独特。単純に物語の構造を楽しめる他、共通点を探すのも面白い。
 前二作品の長所を踏まえた上で、自叙伝的な独自の切り口から描く『鍵のかかった部屋』が最も完成度が高いように感じるが、一番好きなのは最初に読んだ『幽霊たち』。
 『幽霊たち』は登場人物の名前を全て「色」(例えば主人公の探偵の名前は「Blue」)とすることで、あくまでが作者によって創造された「物語」であることを強調させているが、素直に探偵小説として読み進めると、最後の結末部で物語の意味合いが大きく変化するというのが面白く感じた。
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